日本で最初の花粉症の報告は1960年代のブタクサ花粉症ですが、現在、花粉症の7~8割はスギ花粉が原因と言われています。
年々増加する花粉症、今や花粉症は現代病といっても過言ではないでしょう。
当院では医療用空気清浄機エアロクリーンを採用しております。
大学病院など多くの医療施設で採用されている空気清浄機です。
空気中のウイルス、微粒子(花粉、PM2.5、ニオイ粒子)を吸引除去することができます。
アレルギー性結膜炎の症状軽減に有効で、クリーンな空気を提供させていただいております。
院長
気象予報士
目次
目の症状
- 目のかゆみ
- 目の充血
- 目のぼやけ
- 目周囲皮膚のかゆみ、赤み
検査
アレルゲン(アレルギーの原因物質)の特定
血液検査で特定も可能です。⇒View39
治療
点眼薬
「初期療法」
花粉症の場合は、花粉飛散予測時期の2週間程度前から、早めに抗アレルギー点眼薬を始めることで、花粉飛散ピーク時の症状が軽くすることができます。
アレルゲン回避
日常生活でできるだけアレルゲンに触れないような対策をしましょう。具体的には以下の対策があるでしょう。
- ゴーグル着用
- マスク着用
- うがい、洗顔
- 外出後は衣服や髪を払う
- 部屋の掃除を欠かさない
なお、花粉情報の中で最も重要な情報はシーズンに飛んでくる花粉の総量です。
スギ花粉は豊作年、不作年があります。花粉シーズン全体の流れをつかむことも重要です。
飛散開始時期は初期療法を始める目安になります。
飛散の最盛期には数日の間にシーズン全体の花粉総量の3~6割が飛散するため、この数日だけでも外出を控えると症状の軽減になるでしょう。
花粉症のこと
歴史
花粉症が世界で初めて報告されたのは、19世紀初頭のイギリスでした。
幼少期から花粉症の症状で悩まされていたイギリス人医師のJohn Bostockが、「hay fever」=枯草熱として報告しました。
この頃は原因がまだはっきりしておらず、原因不明の「風邪」として考えられていたようです。
その後、イギリスのブラックレーにより枯草熱の原因がイネ科植物の花粉であることが報告されました。
それから枯草熱は花粉症と呼ばれるようになったのです。人類にとって、花粉症はまだ比較的新しい病気であり、「現代病」とも言えるでしょう。
花粉症は原因となる花粉(スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ)を鼻や口から吸い込んだり、花粉が目に付着したりすることで起こるアレルギー疾患です。
花粉症の原因となる植物は、現在、日本では50種以上が報告されています。これらの種類のほとんどは農作物の受粉作業を行う農業従事者にみられるものです。
一方、患者数が多いのはスギ花粉症です。
スギ花粉症は花粉症患者の約7割を占めており、風媒花で風に乗って花粉が運ばれます(花粉が虫に運ばれる植物は虫媒花といいます)。
スギは成長が早く、戦後日本で治水と木材利用を目的として、人工造林事業の一貫で全国(北海道、沖縄を除く)一斉に植樹されました。
この時期に植樹された苗木が30年を経て成木となり花芽をつけ花粉を飛散し始めたこと、生活様式の変化で木材需要が低下したこと、外国からの安い外材の輸入が増え伐採が減ったことから、昭和50年代からスギの花粉量が増加し花粉症患者が増えました。
そのため花粉症は「国際貿易病」とも言われました。また、「国民病」とも言われています。
花粉について
スギやヒノキの花粉は直径30ミクロン程度の粒子です。
花粉は硬い殻に守られています。sporopollerという強靭な物質でできていて、化学薬品にさえ侵されません。
背の高いスギやヒノキは自家受粉を避ける傾向にあります。
そのため離れた場所に花粉を飛ばすことが知られています。
風に舞った花粉は上昇気流に乗り、季節風に運ばれて、数十~数百km離れた都市部にまで飛散することができます。
一方、イネ科牧草(カモガヤなど)やキク科雑草(ブタクサやヨモギなど)などの草本植物の雑草花粉は飛散距離が数km程度なので、これらの花粉が原因の花粉症では、住まいや職場の近くの空き地や河原などに原因植物が繁茂していることが多いのです。
花粉症を起こす植物はあまり美しい花を咲かせない傾向にあります。
虫媒花の植物と違い風に乗せて花粉を飛ばすため、虫に花粉を運んでもらう必要がないからです。
花粉の飛散予測
ところでスギやヒノキの花粉はどんな時に多く飛ぶのでしょうか。
月別にはスギ花粉は3月、ヒノキ花粉は4月に特に多くなっています。
また、一般的に次のような気象条件のそろった日には花粉が多く飛散すると考えられています。
- 最高気温が高めの日(上昇気流が発生しやすい)
- 風が強く晴天で乾燥した日
- 雨上がりの翌日で天気が良い日(2日分の雄花が開花し大量の花粉が放出)
花粉は水分と接触すると、花粉細胞が破れ、生殖能力を失います。そのため、湿度が上昇する降水前には、「やく」が閉じ花粉を放出しません。
花粉の多い時間帯は、一般的には昼前後と日没後です。
これは気温が上がって午前中にスギ林から飛び出した花粉が数時間後に都市部に到達するためと、上空に上がった花粉が日没後に地上に落下してくるためと考えられています。
環境省では、
ⅰ)シーズンの花粉総飛散量
ⅱ)飛散ピーク時期
ⅲ)飛散開始時期
ⅳ)飛散終了時期
などの予測情報を公表しています。
花粉数は単位面積あたり(1平方cm)に落下する花粉数を計測する重力法であるダーラム法により観測されています。
ⅰ) | スギは7~8月にかけて雄花となる細胞が分化して成長します。 この期間の日射量(日照時間)や気温、降水量などによって雄花の量が変動します。 7月の日射量が多いと、翌年の花粉量が多いということがわかっています。 なお、この気象条件と秋に行うスギ林での雄花生産量調査のデータを組み合わせて予測精度を高めています。 |
|||||||||
ⅱ) | スギ花粉がいつ頃から飛散を始めるかは、初冬期(11月~12月)の気温および厳冬期(1月~2月)の気温によって変化します。 スギの雄花は11月の低温刺激で休眠に入ります。 そのあと1ヶ月あまりの期間、低温にさらされると、休眠から開花の準備に入ります(休眠打破)。 花粉の飛散が始まって1週間から10日すると花粉の数が急増します。
|
|||||||||
ⅲ) | スギ花粉の「飛散開始日」は「1平方cmあたりの花粉数が2日間連続して1個以上になった初日」と定義されており、スギの花の開花日とは一致しません。 したがって、「飛散開始日」以前にも花粉が飛散することがあるので注意が必要です。 |
|||||||||
ⅳ) | 飛散終了日は「1平方cmあたりの花粉数が3日間連続して0個になった日の前日」と定義されています。
日々の花粉飛散量については、花粉自動計測機が開発され、全国120箇所で計測されており、花粉の飛散状況をリアルタイムで把握できるようになってきています。環境省の花粉観測システム(愛称:はなこさん)http://kafun.taiki.go.jp/や日本気象協会https://tenki.jp/pollen/5/が便利です。大気汚染物質広域監視システム(愛称:そらまめ君)http://soramame.taiki.go.jp/DataMap.php?BlockID=05ではPM2.5の濃度分布図も確認できます。 |
花粉飛散カレンダー(東海地方)
東海地方は関東地方に比べると、花粉飛散量は少なめになっています。
スギやヒノキは春が中心ですが、秋にも花粉の飛散が確認されます。
イネ科植物の花粉は種類が多く、春から秋まで長い期間にわたり飛散します。
カナムグラは全国いたるところに自生する雑草で、秋口の花粉症の原因の一つとなっています。
なお、セイタカアワダチソウは虫媒花の植物であり、花粉症の原因とはなりません。